最近、バイオリンの話をしていない気がします、こばやしです。
今回は修理についてですよ( ̄^ ̄)!
ある程度使い込んだ楽器に、こういった段差をよく見ます。
バイオリン属の楽器の多くはネックグリップと言われる握りの部分が、二つの部材にわかれています。カエデ材、いわゆる木の色をした太い部分と、真っ黒な木、黒檀でできた弦の乗る指板と、です。
どちらも木材ですから、数年〜数十年かけて変形していきます。もともとの乾燥の度合いや、下地の処理の仕方、まわりの温度・湿度などの影響を受けて、基本的には痩せて小さくなっていきます。が、木材の種類が違うのでその痩せ方には差がでます。
大体の場合、硬くて変形しづらい黒檀の方が残り、カエデ材の方が痩せて段差ができることがほとんどです。この楽器はその好例と言えます。
グリップの名の通り、よく手が触れるところですから段差があれば当然気になります。
弾いているとなんだか手が当たって気になると感じている方はこの部分を見てみると段差になっているかもしれませんよ。
以前紹介したかどうか…スクレーパーと呼ばれる金属片を使って削っていきます。
道路にくっついたガムなんかを剥がすのもスクレーパーといいますね。端についた微細な刃で擦り削る道具です。
形は様々に自分で使いやすいようにつくります。私のスクレーパーは四ヶ所のRが微妙に違う四角形です。
段差が無くなりました。が、完璧に黒檀の部分だけを削ることはできません。少しですがカエデ材の部分も削ってしまいます。白くなっていますね。
スクレーパーは擦り削るといった特性上、削り上がった面はツルツルにはなりにくいです。
ザラついた面を今度は布ヤスリでツルツルに仕上げます。
気になる境目はツルツルになりましたが、境目に近いカエデ材の方の色はさらに落ちてしまいました。先程よりも白い部分が広くなってしまっています。
こんなときは全部落として綺麗にしてしまいましょう。布ヤスリを全面にかけて色を落とします。
その後、透明ニスを擦り込んでツヤを出せば…
こんな感じで、元の輝きが戻りました(^∇^)
グリップの段差は、普段握っているからこそ気づきにくい箇所でもあります。
簡単に調整できるところですので、気になったらぜひ見てみてくださいね。
弦楽器工房こばやしは小田原の栢山から、弦楽器の出張修理を承っております。
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