弦楽器工房こばやし

小田原の弦楽器工房こばやしのブログです。仕事をしていて感じたあれこれを週一くらいで徒然と書いていきます。

弓毛替えのタイミング。

バイオリン属の弓毛は、音を出す上でとても大事です。

松脂を塗って、擦って音を出すという作りなので摩擦が起きないと音が出ないんですね。

「毛替えってどれくらいの頻度でするのが良いですか?」

とても良くきかれる質問なのに、記事にしていなかった事に気づいたので書いてみることにしました。

こばやし、元が楽器本体の制作職人ですので…話題がどうしても弓より楽器に偏りがちですね(^_^;)

さて、いつ毛替えしたら良いのか、ですが。

一般的には半年〜一年くらいと言われていますね。

ただ、弓の使い方も人それぞれ違いますので、一概にこう、とは言えません。

シンプルに言えば、音が弱くなってきたな、と思ったら毛替え時ではあります。

弓毛の表面には人の髪の毛と同じようにキューティクルがありまして、凸凹しています。

この凸凹に松脂がくっつくことで弦を擦る摩擦を生んでいるのですが…使用していけば当然劣化します。キューティクルが剥がれてツルツルになっていくわけですね。こうなると松脂をたくさんつけてもすぐに落ちてしまって音が出にくくなります。

そうなる前に、音が弱くなってきたという実感があったら替えるべきなのです…なんて、どのサイト見ても書いてありますよね。

そこの見極めが難しいから、皆さん悩んでいるわけです。

そこで、こうなったら毛替えした方がいい、というわかりやすいサインを書いていこうと思います。

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アジャスター、弓の後ろのネジですね、これを緩められるだけ緩めます。フロッグを弓毛側に移動させて弓毛を弛ませます。

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このネジ頭と弓のスティックにちょっと隙間ができるくらい緩めましょう。

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この状態で弓をひっくり返して弓の反りに乗せてみましょう。

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弓の反り具合にもよりますが…↑このくらいでしたらまだ大丈夫です。

こちらは↓弓毛から弓のお腹が見えてますね。

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弓の反りを越えて、弓毛が垂れ下がってしまうようでしたら、弓毛は伸びきっています。替え時でしょう(>_<)

弓毛は張られてから縮むことはほとんどありません。使うたびに力がかかりますから、少しずつ伸びていきます。毎日たくさん練習していれば、当然早く伸びるというわけですね。まだ一年経っていないから…と時間だけで考えずに、弓毛の状態を見て毛替えするかどうか判断した方がよろしいかと思います。ここまで伸びたらもう寿命と判断して毛替えすることをオススメしますね。

ご参考になりましたでしょうか?

実は毛が伸びると、弓の構造上の問題も絡んできまして、良いことは無いですね…。そのあたりは次回以降に書いてみようと思います。

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