前回の記事で指板の逆反りについて書きました。
指板を削る修理のほとんどは↑の逆反りのことが多いのですが…(^◇^;)
こういうこともありますよ、というお話です。
指板と弦が離れすぎていると楽器は弾きにくくなりますが、大抵の場合は駒が高くなっている(ネックが低くなっている)ことがほとんどです。
こちらのチェロ、駒の高さは普通…むしろ少し低めなのに弦がおさえにくいということで、お持ち込みされました。
調べてみると指板の反りがとても強く、駒を下げても効果が無さそうです。
15㎝定規から60㎝定規に変えてみました。
これは…広いですね。
一番広いところで計測してみると3.5㎜!
チェロですと広くても1.5㎜くらいにまでにしておきたいところです。
上ナットをはずしていつもの洋カンナで削っていきますが…。
バリバリッと凄い音がしました(゚o゚;;
指板に使われている黒檀という木はとても固い木材です。普通に削るのも大変なのですが、この指板は更にフシが多く、前後どちらから削っても逆目に削れてしまう気難しい木材でした(T . T)
表面を軽く削ろうとしただけでバリバリ繊維ごとはがれてきます。
これは大変だ…。
カンナ刃を研ぎ直して再チャレンジです。
こないだ研いだばかりなんですが、この指板には更なる切れ味でないと文字通り歯が立たないようです。
なんとか形になりました。繊維がはがれてしまった穴はまだ残っていますが、形状仕上げに入ります。
スクレーパーという刃物で削ぐように表面の凸凹を削ります。
残った穴はこうして接着剤を入れて…
同じ黒檀の木粉を固めることで埋めます。
全部埋めたら、サンドペーパーで表面をツルツルにしたあと、オイルを塗ります。
見た目も綺麗になりますが、繊維にオイルが浸透して汗や湿度を防ぎます。
最後に番手の細かな耐水ペーパーで擦り込みます。
見慣れた指板に戻りました(^O^)
上ナットをつけて接着したら、整形しなおして完了です。
気になる指板の反りは…
1.5㎜!なんとか目標値に達することができました。
お客様にお渡ししたら持った途端に「おさえやすくなりました!」とのお言葉をいただきましたヽ(^o^)
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