弦楽器工房こばやし

小田原の弦楽器工房こばやしのブログです。仕事をしていて感じたあれこれを週一くらいで徒然と書いていきます。

ギターのF字孔修理(その2)

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前回の続きです。

割れて無くなってしまった部分に木材を貼り付けました。

これはこれで木の地肌でキレイと思うのですが…さすがに目立つので色を塗って周りと合わせていきます。

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まずはセオリー通り、黄色から。

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徐々に赤を足して濃くしていきます。

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ん…ん?やりすぎたか…?いや、まだいけるはず…(~_~;)

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もうちょっと色をのせて、全体として見てみます…。

リタッチ作業はつい塗っているところに集中しがちですが、全体とのバランスが大事です。

顔を近づけたり、離したり…楽器も、上下左右いろんな向きにして違和感を感じるかを確認していきます。

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これはやりすぎました(T . T)

明らかに赤味が強すぎます。

また、境目が目立ちすぎて「後から貼り付けた感」が見え見えですね(-。-;

残念ながらやり直しです。

縦の木目、罫線みたいに見える縦線。その色が、貼り付けた木の方が薄いのが違和感の原因と思います。

まずは全部色を落とします(T ^ T)

黄色味を合わせるところまでは同じ作業ですが、その後は縦の木目を黒っぽい色で描き足しておきます。

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今度はいい感じ(^_^)

こうしてから色味を合わせると…

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完成です!\(^-^)/

全体で見るとこんな感じ。

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毎回言っている気がしますが、ニスの写真はその時の光の加減で色味が変わるので難しいです(-。-;

リタッチをした箇所はツヤがありますが、この楽器は全体的にツヤがなくなっていました。色が合っていても光沢の具合が違うと台無しです。

リタッチ部のツヤを消すか、本体を磨いてツヤを出すか…ですがこのケースですと磨きのご依頼もありましたので、全体を磨いて光沢を合わせました(残念ながら写真を撮り忘れてしまいました)。

リタッチはとても難しいです。ここまでの大きな失敗はあまりありませんが、小さな失敗はたくさんあります。もちろんリカバリーできるのですが、今回は敢えて失敗したケースもお見せしてみました(^◇^;)

楽器はたとえ同じブランド・品番だとしても、ご使用状況によって状態が全然違います。こうすれば必ず解決できるという方法は残念ながらありません。

だからこそ面白いとも言えますけど…ねヽ(^o^)

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