先日お預かりしたバイオリンです(掲載のご許可はいただいてます)。
ネックの一部が欠けてしまってますね。
こういう時は取れてしまった側のカケラがあると直しやすいのですが、ご本人も気づいたらこうなっていた様子…わかります。音には関係ないところですし、普段目がいくところでもありません。
久しぶりの技術ネタですね(^◇^;)
角度を変えて見てみると、木の繊維が引きちぎれているのがわかりますね。
小さな欠けなのですが、白い木の部分が出てしまっていて、とても目立ちます(T . T)
欠けた部分を再生するしかないのですが、何を使おうか悩みますね…。
ネックの渦巻き(スクロール)は縁の部分は立体を強調するために色が薄くなっています。
この狭い欠け部は2色に分かれているわけですね。
特に色の薄い部分は木目が出やすいので、パテを使うより木材を使った方が良さそうです。
というわけで、ネックと同じ材料であるメープル材を使って修理していきましょう!
木材を貼り付けるには接着する平面が大切です。
まずはナイフと小さなノミを使って平面を出していきます。
傷ついた楽器をさらに傷めつけるようで気が咎めますが、人間だって手術するときにはお腹を切ったりしますからね(・_・;
綺麗に直すためには仕方ありません。
面が綺麗になりました(^O^)
ここに木材を貼り付けていきます。
弓の毛替えに使うメープルの板材があるのですが、それを加工して埋め込みます。
うっすらと下書きのラインが見えますか?
この大きさで接着すると後の加工が大変なので鉛筆の下書きに合わせて大体の形状を作ります。
えー…貼った直後の写真を撮り忘れました…。
貼り付けて整形したところです(^◇^;)
内側を覗き込むとこう見えます。
つい一方向から見がちですが、ぐるぐる回していろんな方向から見ないと完成後に思わぬ違和感を感じることになります(経験済み…)。
ここまできたらあとは色を塗るのみです。
クリアのニスを塗って光沢を揃えます。
この段階でもうかなり目立たなくなってると思うのですが…いかがでしょう。
私的には「いける!」と勝利を確信した瞬間ですね。
黄色のあとに赤を足す、いつもの塗り方で色を合わせて終了ですヽ(^o^)
ネックはメープル材の塊でぶつけて凹むようなことはあってもあまり欠けるところではありません。
ちょっと珍しいケースでしたので記事にしてみました(^O^)
バイオリン属の楽器は、木製で繊細な印象ですし、実際確かにそうなのですが…よほどの大怪我でなければ修理は可能です。
諦めずに私たちのような専門家にご相談してみてくださいね。
弦楽器工房こばやしは小田原の栢山にて、弦楽器の修理・調整・販売を承っております(出張修理も承ります)。
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