弦楽器に限らず、おおよそ音が出るものには雑音(ノイズ)の問題がついてまわると思います。
バイオリン属の楽器の場合、主なノイズの原因は弦の当たっているところ、ナット部、駒が多いです。
左から上ナット、駒、下ナットですね。
それ以外ですと板のハガレであったり、魂柱が合っていなかったり、アジャスターのネジゆるみ、ペグ部品の脱落などなど沢山あります。
今回のお話は「弾いていると鈴が鳴るようなノイズが聴こえる」というものです。
まずは先にも書いたようにナット部の確認…特に何もありません(・_・;
では駒…も問題なし。
魂柱か?…大丈夫。
そもそも、目の前で弾いてもらっても私の耳に肝心のノイズが聞こえないのです。
ほとんどの場合、弓での音出しよりも、指で弾いた時の方がノイズは際立つことが多いのに、いくら指で弾いても聞こえない(T . T)
作業する時にはこんな↑台に載せて作業するのですが、それに載せた状態で弓で弾いてみても聞こえません。
これは、本当にノイズ出てるのだろうか…?お客さんの勘違いでは…?
こういう仕事をしていると、ご要望通りに直せないことが全く無いとは言い切れません…。
楽器自体の元から持っている特徴であったり、弦や弓自体のつくりの問題だったり、要素はさまざまで改善できないこともあるのです。
これはそういうことかもしれない、めちゃくちゃ心苦しいのですが、自分にはノイズが確認できないことを告げて作業を終えるしかない。
そう思って、普通にチェロを抱えて持って音を出しました。「どうやってもノイズが確認できません」そう言おうとしたんです。
ですが…その時はじめてノイズが聞こえたんですね。
「ああ〜!聞こえますね!」
「聞こえますよね???」
なんて盛り上がってしまいました(^◇^;)
これはどう考えてもネック周りで起きています。
基本的にノイズというのは動く場所、振動する所があって起きるものですから、それを徹底的に調べました。
気になったのはここです。
上ナットと指板の接着面にスキマができています。あまり接着の精度が良くないんですね。
ただ、この部分は上から4本の弦でガッチリ押しつけられています。指で押してみてもまったく動かないのです。
ここ…なのか…?
とりあえず、このスキマを埋めてみようと薄い紙を差し込んで上から水を垂らしてふやかしてみました。
これが!ノイズが見事に消えたんですねヽ(´▽`)/
原因さえわかれば取り除くだけです( ̄^ ̄)
早速上ナットを外して、凸凹の接着剤をクリーニングして…
再接着することで綺麗にくっつけることができました。ノイズもなくなり、心なしか全体的に音が良くなったような…?
お客さまにも喜んでいただけました。
こういうちょっと特殊な仕事をしていると、陥りやすいと思うのですが、
お客様より知識・経験がある
のと、
お客様より正しい判断ができる
というのは違うんですよね。
解決できたから良かったものの、深く反省したお仕事でした。
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