こんばんは、弦楽器工房こばやしです。
めっきり寒くなってきましたね。
朝晩の冷え込みに耐えられず、ついに今週から暖房のスイッチが入ってしまいました。
家の外も中も、この季節は空気がどんどん乾燥しますね。
弦楽器はほとんどが木材でできているので、湿度の影響を受けます。しかも家具などに使用されている木材と違い、楽器内部(F孔から覗ける部分です)にはニスが塗ってありません。作られてから1〜2年の新しい楽器なら特にですし、何十年も経っている楽器でも湿度と無関係にはいられないのが弦楽器の宿命なのです。
ちなみに、湿度が高いときには水分を吸収して隆起が膨らんで高くなり、湿度が低いときには逆に下がります。
この時期に特に多い修理は板はがれです。
表板、裏板が横枠からはがれて音量が出なくなったり、ビリビリとしたノイズが起きたりします。
板はがれ、と聞くと大変な修理が必要かと思われがちですが、それほど大規模な修理ではありません。弦楽器の各部接着は膠(にかわ)で接着されているので応力がかかったときにはがれやすくなっているのです。
湿度の上下により楽器に歪みが発生したときに「はがれることで楽器を守っている」というわけです。歪みによって木材が割れる前に、はがれて力を逃すのですね。よく考えられています。
この時期に、演奏していて違和感を感じたらはがれが起きている可能性があります。
そんなときは自己診断をしてみましょう。
楽器のネックをしっかり握ります。どちらの手でもかまいません。そうしたら逆の手で軽く拳を握り、軽く叩きます。人差し指か中指を当てる感じ…ドアをノックするイメージです。あまり強く叩きすぎないでくださいね。傷つけないよう、あくまで軽くノックです。
叩く場所は象嵌細工の内側あたり。そこを軽くノックしながら一周します。椅子に座ってやった方がいいかもしれませんね。アゴ当て近くを足の上に乗っけておけば落とす心配もありません。裏板をノックするときは駒や弦をどこかに引っかけないようにも注意してください。
コンコン、と固い音がしているなら大丈夫。
バチッバチッ、と弾けるような音がしていたら残念ながらはがれている可能性が高いです。
いろいろ書きましたが、上記はあくまで簡単な自己診断です。楽器に異常を感じられたら、専門家にお任せくださいね。
弦楽器工房こばやしは小田原の栢山から、弦楽器の出張修理を承っております。
詳しくはホームページをご覧ください。