弦楽器工房こばやし

小田原の弦楽器工房こばやしのブログです。仕事をしていて感じたあれこれを週一くらいで徒然と書いていきます。

バスバーってどこ?

お久しぶりです…(^◇^;)

本当にありがたいことに、いろいろとお仕事をいただいて忙殺されておりました。

ようやくちょっと一息、といったところ…。

この時期は大体は余裕がある…ヒマ(-。-;…なことが多いのですが、今年は違いますねヽ(^o^)

嬉しい悲鳴というやつです。

さて、しばらくぶりで技術のお話です。

少し前にバスバーの交換を依頼されまして、これがなかなかに興味深い作業だったのでご紹介したいと思います。

と、その前に。

まず、バスバーという部品がどこについているものかをご説明します。(作業する楽器とは違う楽器です。)


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表板には魂柱が立っていますが、正面から見て向かって右側にずれて立っています。

では左側は…?というと、このバスバーがくっついているわけです。裏返ってるので向かって右側に見えますが、本来は左側です。

表板の内側に縦に長く接着されていて、文字通りバス(低音)を支えるバー(棒)になっています。

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横から見るとこんな感じ。最も圧力がかかると思われる中心部は高くなっていますね。

このバスバー、魂柱と同じようにバイオリン属楽器の音の根幹を成す大切なパーツですが、普段はあまり目にする機会はありません。

表板の内側で、隆起にかかる弦の張力を支えているので、何十年も経つうちに少しずつ歪んではきます。つまり、厳密に言えば消耗品ではあるのでしょう…。が、新品の楽器を買って普通に使っていたらまず壊れない部品です。

ただ、百年以上前の楽器がゴロゴロしているバイオリン界隈では、時々どうしようもなく表板の真ん中が凹んでいるようなことがあったりもするので、交換が必要なこともあるのです。

次回からご紹介する楽器は表板の形状こそ歪んではいないものの、魂柱の調整だけでは直しきれない低音部の音が籠もっているということでバスバーの交換に踏み切ることになりました。

今回はそこを交換して欲しいというご依頼でしたのでご許可をいただいてご紹介したいと思います。


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出だしからで恐縮ですが、本体写真を撮影し忘れました…。年代は不明ですが木材の感じから100年くらいは前の楽器でしょうか?

まずはこういうペインティングナイフで表板を外します。

接着を剥がすというより、接着部を切っていくイメージです。

無理矢理剥がすと板が割れたり、繊維が残ったりするのでとても気をつける作業です。

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はがれました(^○^)


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近くから見ると、かなり私の知っているバイオリンの常識から、離れていることがわかりました(O_O)

長くなりそうなので、どこが妙なのか、どう直していくかは次回に続きます(^◇^;)

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