弦楽器工房こばやし

小田原の弦楽器工房こばやしのブログです。仕事をしていて感じたあれこれを週一くらいで徒然と書いていきます。

自己診断②

こんばんは、弦楽器工房こばやしです。

弦楽器を手に取るとつい見てしまうことの一つに駒の位置と傾きがあります。

左右の位置ズレは、気づかぬうちに起きていることが多い現象で、指板と弦との関係がズレてしまうことから全体に弾きにくくなってしまいます。

駒の傾きは、少しなら技術者でなくても簡単に直せるものです。しかし放っておくとどんどん進んで駒の歪みや、最悪の場合、割れを招くこともあるかなり重要な診断項目です。

お店に展示してあるような楽器でも、何人ものお客様が調弦を繰り返すことで駒が傾いてしまっていることがあります。

自己診断シリーズその2ということで、今回は駒の位置や傾きの見方をご紹介していきます。

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まずは、駒の左右の位置です。写真のように指板をネック側から見ます。

弦がペグからのびて当たる最初の部分、上ナットから、指板の下部、アーチになっている部分を一直線に合わせて見えるようにします。

鉄砲を構えて狙っている…ようなイメージです。

このとき、指板の側面から駒が均等に見えるのが正常です。

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矢印でマークした、駒が指板の影から見えている部分。これが左右で同じだけ見えているかを確認します。写真の楽器ですと向かって左にわずかにズレているように見えますね。実際に目で見るとほぼ均等でした。写真は難しい…。

真っ正面から楽器を見て指板と弦との位置を見ても判別できるのですが、こちらの方がわかりやすいので、こちらをオススメします。

 

続いて駒の傾きです。

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真横から楽器を見ます。座った状態で膝の上に置くのが良いと思いますが、立ったままでもネックと顎当てをつかんで見ることはできます。

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表板の縁を一本の線として見たときに駒が垂直かどうかを見ます。一つ上の写真だと少しテールピース側に傾いているように見えるかもしれません。が、駒はもともと指板側の傾斜が強く、テールピース側は直角に近いのが普通ですので正常と言えます。

左右の位置でもそうなのですが、人間の目はかなり精密にできていまして、写真ですと分かりづらいところが、実際に目視で確認すると明らかに分かると思います。

この2点、左右位置と傾きは非常に重要で、弾き心地や楽器の健康状態に密接に関係しています。ぜひご自身の目で確認してみてください。

あ、くれぐれも周りに楽器をぶつけたり引っ掛けたりすることのないよう、ご注意くださいね。

 

弦楽器工房こばやしは小田原の栢山から、弦楽器の出張修理を承っております。

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https://musical-instrument-repair-shop-51.business.site