こんばんは、弦楽器工房こばやしです。
さて、去る3月16日から4日間に渡って洗足学園で行われたトマスティーク社の弦プロモーションに応援として行ってまいりました。
お客様である生徒さんの楽器を簡単に診断した後はひたすらトマスティーク社のスタッフの指示に従い、弦を交換するというお仕事です。
初めて行きましたが、洗足学園はとても綺麗なところでした。建物が綺麗なだけでなく、整備が行き届いているという感じで、自分などが歩いていると、なんだか場違いな気になってきます。
直接のご依頼は、懇意にさせていただいております、プリマ楽器さんからです。
ショースペースに、以前私が作った楽器も置いていただきました。向かって右のバイオリンですね。
細いスーツの方がトマスティーク社のStojan Jovanovic氏。ストヤン・ヨバノビッチ?だった…と思います。セルビア出身と仰ってました。
彼の指示と、お客様の反応を見ながらジャンジャン弦を変えていきます。定価数千〜万を超えるような弦も躊躇なくパッケージを破っていくのでハラハラ(笑)してしまいます。普段セコセコと使っているもので。
しかし、さすがにマスタークラスを受講されるような方達だけあって、皆さんとても上手でした。
弦の響きを聞いていただくために、交換したらすぐに試奏をお願いするのですが、ほんの少しのフレーズでも惚れ惚れするような演奏をしてくださいます。
弦って、セットでご購入される方が多いと思うのですが、必ずしもそれが正解ではないことを知ることができたのは良い経験になりました。
ストヤン氏も、一本ずつ指示しながら換えるので音の変化がとてもわかりやすかったのです。
弦の性能…というか特徴は、使われている素材の影響が大きいのですが、それによって正しい音階になったときの張力が変わります。
じゃあ、張力が高ければいいのかというと、それは楽器の方との相性が大切で…。
結局はいろいろと試してみるしかないのですが、今ご自分で使用されている弦から変えるための指針が欲しい、と思われるのであれば、張力の数値を見てみると面白いかも知れません。大体、パッケージに表記してあります。
大きくイメージを変えてみたければ自分の弦の張力よりも大きく変わっている(強くも、弱くも、です)ものを。似た音でもっと良いものがないかをお探しであれば、近い張力で少し違うものを…というように探してみると、漠然と印象で探すよりも見つけやすい、かもしれません。
そんな弦の素材や張力のお話を講義もしていたりして。後半少しだけですが聞くことができたのも、また勉強になりました。
魂柱、駒の位置、弦の長さ、湿度に温度、弓毛の状態、弓のバランス、弾き方との相性に加えて、弦の素材と、張力ですか…。
これだけのファクターをまとめ上げて美しい音が出ると思うとめまいがしそうですね(笑)。
自分も技術者の端くれ、お節介ながら「美しい音」への手助けができたらなぁ、と思っております。
弦楽器工房こばやしは小田原の栢山から、弦楽器の出張修理を承っております。
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