ニスの修理、いろいろありますが、なかでも一番厄介なのが今回ご紹介する、駒足跡ニス直しです。
駒の足元を見てください。クッキリと駒が立っていた跡が残っていますね。
弦楽器の駒は接着されている訳ではなく、弦の張力で押さえつけられて立っているだけなんですね。ですので、わりと簡単にズレます(-。-;
駒や本体に衝撃が加わったとき、たとえばケースごとぶつけたり、落としてしまったりしたときにも動く可能性があります。
なにかの拍子に駒がズレてしまったときに、足元のニスをヌルッと抉るように持っていってしまうことがあるのです。写真はその状態というわけです。
音にそれほど影響がある訳ではありません。オールドの楽器なんかはほぼこの現象が起きていて駒部分のニスは無いことが多いですし、新しい楽器でニスが乾燥していたとしても、こういうことは起こり得ます。
ただ、新作の楽器でご購入する前からこうなっていると、気になる人は気になるでしょうね…。
というわけで、今回はこれを直していきます。
私はニスのリタッチ修理は得意な方で、バイオリンのニス修理でしたらどんなキズでも綺麗に直せる自信があります。ただ、この部分の修理の場合はその後のことも考えないといけません。
すなわち、直して駒を立てたらまたズレてニスを抉る、なんてことが無い様にする必要があります。
この楽器ですと、正しい位置に駒を立てたときに駒足の下のニスは「無い方がいい」のですね。
と、いうわけで見える部分のみに色をのせて直していきます。
まずは透明ニスを塗って、状態を見ます。ここから色をのせていけばイケる、と判断して…
少し赤茶色をのせましたが…うーん、どうにもしっくり来ないです(・_・;
駒足がズレたときに抉られたニスが濃い塊になって残ってるんですね。これは失敗です(T_T)
手間がかかってもまずは傷口を綺麗にするところから始めましょう。
こういうときは思い切り良くいっちゃいましょう!綿棒に少量のアルコールを含ませてニスを剥がします。
どんなに慣れていてもこの瞬間は緊張します(・_・;
取りすぎないように、でもちゃんとキレイになるように…!
取れました(^○^)
下側の方、ちょーっと取りすぎた感がありますが(^◇^;)これはなんとかなります。
次回はここにどうニスを塗っていくかをやります。
弦楽器工房こばやしは小田原の栢山から、弦楽器の出張修理を承っております。
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