こんにちは、弦楽器工房こばやしです。
コントラバスの修理を依頼されましたので、ご紹介しようと思います。(写真につきましてはお客様の許可をいただいて掲載しております)
完全にネックが折れてしまっています。
当工房はバイオリン、ビオラ、チェロの修理調整を謳っておりますが、ご要望があればベース(コントラバス)の修理もお受けできるものがあります。
今回はネック折れということで、楽器本体の価格と相談してネック交換という手段が取れないと判断しました。
手法としては
①折れたネックを接着剤で仮止め。
②指板ごと穴を開け、木ネジで固定。
③ネジ穴、接着面の隙間を埋める。
④再セット、駒調整。
という流れです。
修理としては、完全な修理というより、応急処置に近いものがあります。修理後の強度はある程度は確保できますが、楽器の性能としては落ちてしまうのは避けられません。機能という面でいえばネックの角度は変わってしまうので、その点には留意する必要があります。
正しい処置としてはネック自体を交換するのが良いと思いますが、それで(以前にもこのブログで書いたようにhttps://kobayashi-strings.hatenablog.com/entry/2018/10/16/185144)楽器本体の価格を上回ってしまうようであれば本末転倒です。
今回は、早く、お手頃価格で、機能を回復するというのがテーマになりました。
まずはガッチリと接着剤で固定します。ネジを入れる前の仮止めではありますが、ここでキチンとくっついていてくれないと後々の作業に影響します。
ついでにどうしても開いてしまう隙間に樹脂を入れて埋めます。
段差ができてしまいましたが、折れた段階で繊維質はちぎれてしまった状態です。陶器が割れたように、ピタリとはくっつきません。
クランプ(締め具)を外したところでもう一度埋めます。
ドリルで指板ごと穴を開けていきます。指板を外す方法もありますが、手間と時間を考えてこのままいくのが今回のテーマですp(^_^)q
ネジ止め終了。ちょっと、おとぼけ顔にも見えますね(°。°)
黒檀で穴を埋めます。ざっくり切った端材をラフに整形して入れます。隙間を粉にした黒檀で埋め、整形すると…
こうなります。跡はほぼ見えなくなりました。
折れ部分。白い樹脂が目立つので頼れる相棒、コピックで少し色をつけます。
簡単に、ではありますが先程よりは目立たなくなりました。今回はここまでです。
駒を見るとネックが折れた影響か、やはり高くなっていたので調整しました。
工房だと狭いのでアルシェさんに置かせていただきました。機能面で言えば戻ったと言って差し支えないと思います。
修理の方法はおそらく、作業をする人の数だけあるのでしょう。そして、どれが正しいのかという判断も…。今回のこの修理、邪道だという意見もあるはずです(^_^;)
ただ、お客様のご要望と合致した修理であることは確信しています。
一つのやり方にこだわることなく、お客様のニーズにあった方法をご提案できるように創意工夫していくべき、というのが私の考えです。
そうでないと24年もやってきた甲斐が無いってもんですよo(^▽^)o
弦楽器工房こばやしは小田原の栢山から、弦楽器の出張修理を承っております。
詳しくはホームページをご覧ください。
https://musical-instrument-repair-shop-51.business.site
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