弦楽器工房こばやし

小田原の弦楽器工房こばやしのブログです。仕事をしていて感じたあれこれを週一くらいで徒然と書いていきます。

板ハガレの接着方法

以前、板ハガレの見つけ方の記事を書きました。

ずいぶんと前の記事ですね…。なかなか見つけられませんでした(-。-;

余談ですが、自分のYouTubeチャンネルのメールアドレスがわからなくなってしまって困ってます。

一通り試したと思うんですが…ログインできないのです( ;  ; )

さて、写真に写っているこちら↓


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なんだかお分かりになりますか?

これ、ニカワ(膠)です。木材の接着剤です。

ニカワもいろいろな種類がありますが、私は粒ニカワを主に使用していますね。

これ、このままだと使用できません(-。-;ので使えるように準備する必要があります。

まずはステンレスの器に入れたら、全部浸るくらいの水を入れます。

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このまま30分くらい置いて、水を含浸させます。

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水分を吸って膨らみました(^○^)

この後温めて溶解させますが、ニカワは60度くらいの温度が一番使いやすいので↓の電気ポットを使います。

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結構前のモデルなのですが、調乳機能がついていてぴったり60度にしてくれるのでニカワにも優しい仕様なのです。

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水量多い方が使いやすいのですが、今回は急いでいたので温まりやすくするために、水少なめにしてます。

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温まったところで筆で混ぜるとサーッと溶けます。

これを剥がれた板の隙間に入れていきます。

使うのは…


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この二つです。

左がペインティングナイフを薄く加工したもの。右が接着用のクランプです。

溶けたニカワをペインティングナイフで掬い、隙間に入れていきます。


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入りにくい時は、筆も併用して流し込みます。

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必ず余分なニカワがはみ出るので、丁寧に拭き取ります。

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先程のクランプで挟み込むと…

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がっちり固定されます(^○^)

この時にまたニカワがはみ出てくるので、それも拭き取ります。残っていると、ニスにヒビが入ってしまったり、その場で固まって汚くなってしまったりします。

この後、最低でも3時間、可能でしたら12時間以上圧締します。

比較的多い修理ではありますが、そういえば記事にするのは初めてですね(^o^)

段々涼しくなってきてますがまだ冷房は使いますよね?乾湿、冷暖の差は楽器の木材を伸縮させます。

特にこういう季節の変わり目は板ハガレが起きやすくなります。

ハガレを放置すると、ノイズの原因になりますし、はがれた部分に汗やゴミが入ると接着が難しくなります。

見つけたら早めに修理することをオススメします。

どうしても接着作業には圧締して乾燥する時間が必要になります。余裕を持ってご予約くださいね。

弦楽器工房こばやしは小田原の栢山から、弦楽器の出張修理を承っております。

詳しくはホームページをご覧ください。

https://musical-instrument-repair-shop-51.business.site

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